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米共和党「選挙制度改悪」の謀略

各地で進む有色人種「投票制限」

2021年4月号

 大統領選の騒乱の記憶が生々しい米国で、ドナルド・トランプ前大統領のホワイトハウス奪還の動きが始まった。投票は三年半以上も先のことだが、州ごとに定める投票・有権者規則を共和党が有利なように変更して、民主党優勢を覆すという遠大な計画だ。
 特に民主党支持の有色人種を標的にしているため、ジョー・バイデン大統領は、「民主主義に対する前例のない攻撃だ」と共和党を厳しく非難する。各州では、黒人を中心に抗議運動が巻き起こり、人種間の緊張も高まっている。

人種差別色の強烈な「犬笛政治」

 米国政治の激戦地と言えば、フロリダ州や中西部が定番だった。だが最近は、南部ジョージア州がすっかり、その座を奪った。
 昨年の大統領選では、民主党が二十八年ぶりに奪還。この後、トランプ氏が、同州選挙を統括するブラッド・ラフェンスパーガー州務長官に電話して、「あと一万一千七百八十票あればいいんだ。あんた、見つけてこいよ」と、恫喝したことで有名になった。
 今年一月の上院決選投票では、二議席とも民主党が僅差で勝利。・・・