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ロシアとの同盟を「拒否」した中国

旧ソ連圏「侵食」を狙う習近平

2021年4月号

 米アラスカでの米中外交トップ会談が激しい非難の応酬となったことで、米中は今後、同盟国、友好国を引き込み、集団で対峙する気配だ。米側がG7(主要七カ国)や日米豪印四カ国(クアッド)の枠組みをてこ入れするのに対し、中国は反米で共闘するロシアとの連携を強めている。
 ロシアもバイデン米大統領がプーチン大統領を「殺人者」呼ばわりしたことに抗議し、駐米大使を一時召還した。ラブロフ外相は三月二十二日、急きょ訪中し、桂林で王毅外相と対米戦略を中心に協議した。七月にプーチン大統領が訪中するとみられ、中露の結束を一段と強化する構えだ。
 七月十六日は、中露善隣友好協力条約の締結二十周年に当たり、期限二十年の同条約はこの日で期限切れとなる。両国は二十周年に合わせて首脳会談を開き、条約の修正を検討している。二〇〇一年にプーチン、江沢民両首脳が調印した現行条約は、「包括的戦略パートナーシップ」を明記したが、その後の政治、経済、軍事提携の進展で、現実にそぐわなくなっていた。
 ロシア側は軍事同盟条約への転換を念頭に置いていた模様だ。プーチン大統領は一八年時点では「軍事同盟は計画し・・・