三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

政治

泣く子も黙る「文春砲」の謎

《政界スキャン》

2021年4月号

 泣く子も黙る勢いの「文春砲」(「週刊文春」によるスクープ)だが、その社会的意義を「ペンは剣より強し」と言ったら、大半の人が首を傾げて失笑するだろう。確かに大臣や国会議員のクビを次々と切り落とす蛮勇は、他のマスコミが完全に牙を抜かれた今日、独り舞台の観があるが、そこには「反権力」の匂いがしない。むしろ芸能ネタの方が「強きを挫く」の気概を感じさせるだけに、政治ネタの中途半端さがなおさら鼻につくのかもしれない。
 カクカクたる戦果には敬意を払おう。だが、その顔ぶれたるや、菅原一秀元経済産業相、河井克行元法相、吉川貴盛元農水相、河井案里元参院議員、他に官邸・総務省の幹部官僚……。標的になるまで顔も名前も知らなかったB・C級である。砲弾と首級の数は多いが、本丸には届かず、撃たれるのは身代わりの小物ばかり。これなら「憎まれっ子世にはばかる」程度の評価が妥当なところか。
 無理もない。生みの親である新谷学「週刊文春」編集局長の口癖は「親しき仲にもスキャンダルあり」。強みと弱みが正直に表れている。ニュースの基準は権力チェック(監視)ではなく、あくまでス・・・