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経済

日本半導体産業は「再興」できる

「アナログ」と「材料」が鍵に

2021年4月号

 世界的に半導体の調達難が深刻化するなか、日本の半導体産業の現状に苛立ちと失望の声が広がっている。一九八〇年代に世界の半導体メーカー上位を独占した栄光の記憶が残っているからだ。最先端のロジック半導体では日本勢の姿は消え、メモリーも東芝が手放したキオクシアのみ。世界トップクラスの半導体製造設備もいつまで競争力を維持できるか不安がある。米中冷戦を受け、半導体産業育成に全力をあげる中国は深刻な脅威だ。だが、映像、センサー、電力制御などアナログ半導体は日本が世界をリードし、シリコンや次世代の半導体材料も日本が優位。日本の半導体産業は正しい戦略をとれば、実は復活のチャンスが広がっている。

着実に成長する「非ロジック分野」

「昔の名門を集めても落ちこぼれにしかならなかった」。那珂工場(茨城県)の火災事故で、企業としては最終局面に入ったルネサスエレクトロニクスの“墓碑銘”にはこう刻まれるのかもしれない。三菱電機、日立製作所、NECというかつて半導体で世界トップの座を競ったメーカーが統合した「半導体ド・・・