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社会・文化

コロナで役立たずの「東大医学部」

ロクな研究成果が出せない理由

2021年4月号

 新型コロナウイルスのワクチン接種が日本でも始まったが、世界でコロナ研究をリードしているのは、ワクチン開発で名を売った企業ではなく、大学や研究機関などのアカデミアだ。
 英アストラゼネカのワクチンは、英オックスフォード大学との共同研究の成果で、世界のコロナ感染者数の推移を、米ジョンズ・ホプキンス大学が「COVID-19ダッシュボード」で公表していることは周知のとおりだ。変異株研究をリードする英国では、四つの政府機関、ウェルカム・サンガー研究所、十四の大学が協力した「COVID-19ゲノムコンソーシアム」が結成され、この組織のディレクターを務めるのはケンブリッジ大学医学部のシャロン・ピーコック教授だ。いずれのプロジェクトでも、専門を異にする大勢の研究者が協力している。コロナ研究はアカデミアの総力戦なのだ。
 日本でオックスフォード大学やジョンズ・ホプキンス大学と比較するとすれば東京大学だろう。国から受け取る運営費交付金は七百七十二億円(二〇一九年度)で、二位の京都大学の五百四十四億円を大きく引き離す。
 英誌『ネイチャー』が三月十八日号で発表した二〇年のアジ・・・