三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

経済

《企業研究》みずほ銀行

3度目の「惨劇」で潰えた未来

2021年4月号

 みずほ循環―金融・IT業界関係者らの間では密かにこう揶揄されているらしい。
 好況、後退、不況、回復の四つの局面が繰り返し順番に現れるとされる景気循環。周期によって四つの波があることが知られているが、このうち九~十年サイクルで局面が繰り返されるといわれるのが「ジュグラーの波」だ。フランスの経済学者J・C・ジュグラーが唱えた理論で「ジュグラー循環」とも呼ばれている。まるでそれに平仄を合わせるかのように、みずほフィナンシャルグループ(FG)もおよそ十年周期で大規模なシステムトラブルを繰り返しているというわけだ。
 最初の障害は二〇〇二年四月。第一勧業・富士・日本興業の旧三行を統合・再編する形でみずほ銀行とみずほコーポレート銀行を発足させた初日に起こった。約二百五十万件にのぼる口座振替の遅れや二重引き落としなどが発生。収束までに一カ月超を要し、経営統合を主導してきた杉田力之・山本惠朗・西村正雄の前3トップ三氏が特別顧問の辞任に追い込まれた。
 二度目が一一年三月の東日本大震災直後。被災者に対する大量の義援金の振り込みが殺到して処理能力がパンク。百十六万件(計約・・・