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社会・文化

変異株で崩れた「ワクチン戦略」

遠のく「集団免疫」と感染収束

2021年4月号

 新型コロナウイルス(以下、コロナ)の変異株が世界で急拡大している。ロックダウンを継続しているドイツ、イギリスに加え、イタリア、フランスも変異株の蔓延により、ロックダウンに追い込まれた。日本は三月二十三日時点での変異株の感染者数は、空港検疫を除き、二十六都道府県で五百四十九人。二週間前の九日の二百七十一人から倍増した。
 政府は変異株検査体制の強化、陽性者全員の隔離、水際対策の強化を表明しているが、「欧米先進国と比べ、日本の対策は周回遅れ」(医学部教授)だ。このままでは変異株による第四波が日本を襲うのは避けられない。現に、政府のコロナ感染症対策分科会の尾身茂会長も、三月十日の衆議院厚生労働委員会で「早晩、変異株が主流になる」と公言している。変異株が蔓延すれば、感染者・死者が増えるだけでなく、ワクチン接種も全面的な見直しが必要になる。

技術革新は「タブー」の厚労省

 変異株対策の基本は徹底した検査だ。日本の場合、保健所や医療機関で陽性と判断されたサンプルを、国立感染症研究所(感染研)に送り、変異株の検・・・