「一兆円以上の税金が投下されるＧｏＴｏキャンペーンで、宿泊施設の直接予約において圧倒的シェアを誇る企業」「いち早く情報を入手し、承認第一号としてＧｏＴｏビジネスを始めた事業者」。以上の情報から、ＪＴＢや近畿日本ツーリストのような大手旅行会社を思い浮かべる読者は多いだろう。もしくは、じゃらんや楽天トラベルなどオンラインサービスを想起するかもしれない。しかし実際には「ピアトゥー」という聞き慣れない会社なのだ。所在地とされるマンション一室のドア横には、ガムテープの切れ端に社名が書かれ、文字は消えかかっていた。
　ピアトゥーの背後にいるのは旅館や中小ホテル、ビジネスホテルなどが加盟する全国団体。この団体が圧力をかけたことで、ＧｏＴｏキャンペーンの実施方針が変わり、前述した謎の会社が大儲けしている。調べてみると巨額補助金を巡る不可解な話や疑惑が浮かび上がってくる。

事前に情報得ていた企業の正体

　全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会（全旅連）―。前身となる団体が大正時代に設立された歴史ある業界団体で、加盟施設・・・