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ミャンマー国軍と「日本財団」の蜜月

笹川陽平「特使」で遠のく平和

2021年6月号

 公益財団法人・日本財団(旧・日本船舶振興会)会長で、国際貢献をうたう笹川平和財団の名誉会長も務める笹川陽平氏と、クーデターに反対する市民八百人以上を虐殺してきたミャンマー国軍との「蜜月」が、日本の国際的な評価を貶めている。笹川氏は、拘束された邦人の解放に国軍との「パイプ」を活用したようだ。国軍に借りができた形となってしまった日本政府は、経済制裁などで国軍批判を展開する欧米と歩調を合わせることができなくなっている。
 五月十四日、ミャンマーの刑務所に収監されていたジャーナリストの北角裕樹氏が釈放され、その日のうちに日本に退去させられた。北角氏は、四月十八日に「フェイクニュース拡散の罪」で国軍支配下の警察に逮捕され、五月三日には外国メディア関係者で初めて起訴された。北角氏は日本経済新聞の元記者。大阪市長だった橋下徹氏が始めた民間人校長制度の公募で中学校長に選ばれたものの、「信用失墜行為」があったとして懲戒処分を受けた過去がある人物だが、それはまた別の問題なので本稿では詳しく触れない。
 日本政府は解放を再三求めたが、国軍は無視を決め込んだ。ところが、国軍は五月十三日夜・・・