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「イラン・イスラエル戦争」の発火点

レバノンで「衝突再燃」の予兆

2021年7月号

 イスラエルとパレスチナのイスラム原理主義組織「ハマス」との間の戦闘に続き、中東で新たな戦争勃発の可能性が膨らんでいる。
 今回は、イスラエルの北に位置するレバノンの、イスラム教シーア派組織「ヒズボラ」とイスラエル軍との衝突再燃だ。対イスラエル攻撃には、宿敵であるイランが深くかかわっており、「イラン・イスラエル戦争」が次々と戦線を拡大させている。

ベイルートに影の作戦本部

 世界の目が、イスラエルとハマスのミサイル応酬に向けられていた今年五月のことだ。
 レバノンの首都ベイルートは、主戦場から二百八十キロメートルほど北にある。ここに、イランの「イスラム革命防衛隊」の最高幹部が頻繁に出入りするのを、イスラエル諜報機関「モサド」は見逃さなかった。防衛隊きっての精鋭である「ゴドス」部隊のエスマイル・ガーニ司令官が二度、ベイルート入りしたことが確認された。
 在中東の西側情報筋は、「ベイルートに、イランとヒズボラ、ガザ地区の軍事部門幹部が集まる『合同作戦司令センター』が非公式に作られた。・・・