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WORLD

世界は「一千年に一度」の干ばつに

米中露を襲う「黙示録的熱波」

2021年7月号

 今年の夏は「一千年に一度の干ばつと熱波になる」という、空恐ろしい予測が気候学者の間でささやかれている。特にひどいのは、米カリフォルニア州など北米大陸、中国内陸部、ロシアのシベリアだ。
 五~六月の熱波で冷房需要が激増し、中国では電力制限が一部で始まった。世界の猛暑は毎年、各地で記録更新が続くばかり。今年はいったい、何が違うのか。
 今年五月から六月にかけ、中国メディアは連日、揚子江上流の金沙江に建設された白鶴灘ダムのニュースを大々的に伝えた。貯水量世界一の三峡ダムに次いで世界二位。国営テレビはまるでクイズ番組のように細かくダムの統計を伝え、「白鶴灘はこんなにすごい」とPRした。
 中国の報道には、必ず裏の事情がある。当局には「電力供給は万全」を宣伝する必要があった。内陸部の干ばつと熱波により、電力供給がひっ迫していたからだ。
 白鶴灘ダムは、四川省と雲南省の境界にある。雲南省は、電力を多量に使うアルミニウム産業の集積地だが、五月の時点で当局から、「減産せよ」との厳命が飛んでいた。今年第1四半期の降水量は、例年より四割も少なかった。いかに中国自慢・・・