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タリバン復活「国際テロ」の再燃

アフガンが中露の悩みの種に

2021年8月号

 アフガニスタン駐留米軍が八月末に全面撤退することで、イスラム原理主義組織「タリバン」が政権を奪還する可能性が強まり、近隣のロシアや中国、中央アジア諸国が戦々恐々としている。タリバンはかつて、各国のイスラム過激派組織を支援し、テロが頻発した経緯があるからだ。テロ組織、アルカイダやイスラム国(IS)の残党がアフガンに流入しているとの情報もあり、アフガンが再びテロの温床になりかねない。
 親米のアフガン政府軍は約三十万人ながら、士気が低く、戦闘中の逃亡が絶えない。血気盛んなタリバンの兵力は推定十万人弱だが、米軍撤退で勢いづき、七月九日、「全土の八五%を制圧した」と発表した。米情報機関は、米軍撤収から早ければ半年後のアフガン政府崩壊を予測していると報じられた。
 バイデン米大統領は、タリバンの力は米軍が駐留を開始した二〇〇一年以来現在が最強だとしながら、「将来を決める権利と責任はアフガン国民にある」と述べて、「米史上最長の戦争」に終止符を打つ意向を示した。アフガン情勢は、弱体化した親米政権が、米軍撤退後に崩壊するというベトナム戦争と同じパターンをたどりそうだ。
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