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政治

河野太郎に「首相」は論外

《政界スキャン》

2021年8月号

 謝る。それは人としての器を最も試される表現行為に違いない。言葉と態度に、心の内が驚くほどそのまま表れるからだ。まず反省。自分の過ちを心から認めて悔いているか。次におわび。自分の失敗で引き起こした相手の失望を、心底理解できているか。自分と相手への想像力が問われる。
 上手に謝ることができないと、何もしないより始末に悪い。自分は本当は悪くない。なぜ自分ばかりこんな目に。相手にも落ち度はあっただろう。開き直り、ふてくされ、責任転嫁する本心がちらりとでも垣間見えれば、相手はもっと怒り、呆れ、突き放す。
 河野太郎ワクチン担当相は謝るのが下手すぎる。全国の地域・職場を大混乱させたワクチン接種のドタキャン事件は、東京五輪を新型コロナウイルスの都内感染爆発状態で迎える羽目になった最大の原因の一つである。外国なら暴動が起きてもおかしくない。
 河野氏も慌てて全国知事会とのオンライン会合やテレビ各局の生出演に臨んだ時は「配送スケジュールの提示が遅れた。はしごを外した形になり申し訳ない」と一見低姿勢だった。しかし随所に「供給は問題ない」「接種スピードが早すぎた」「自治体に在・・・