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政治

「ワクチン失政」和泉補佐官の大罪

菅官邸「機能不全」の象徴

2021年8月号

「ワクチンはまだか」。接種済みの人を羨む未接種の人々の苛立ちは、ピークに達しつつある。七月の読売新聞世論調査では、政府の新型コロナ対策を「評価する」は二八%で、「評価しない」の六六%を大きく下回る。PCR検査や病床確保で国民の期待を裏切り続けてきた政府だが、ワクチンだけは自信たっぷりだった。「全体として三億一千万回分を確保できる見込み」(一月二十一日、首相菅義偉の参院本会議の代表質問)と大見得を切った。それが今、この体たらくである。
 六月二十一日に本格的に始まった職域接種の受け付けが、同二十三日に一時休止。政府の不手際が露呈する。七月六日には、ワクチン担当大臣河野太郎が、六月末までのモデルナ製ワクチンの供給が、予定の四千万回分より大幅に少ない一千三百七十万回分だったことを明かした。政府は、大型連休前にはモデルナから報告を受けており、二カ月以上も「隠蔽」してきたことになる。
 政府関係者は「和泉(洋人首相)補佐官が自らの失敗を認めず、修復を自分でやろうとして悪循環に陥っている」と嘆息する。
 和泉は一九七六年に東京大学工学部を卒業し、建設省(現国土交通省)・・・