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経済

金融庁「地銀半減計画」の衝撃

今後5年で「大再編」実現へ

2021年8月号

 七月八日、菅政権の目玉政策の一つ「地銀再編」を担う金融庁の新体制がスタートした。新長官には総合政策局長の中島淳一(一九八五年旧大蔵省入省)が就き、銀行を監督する監督局長は異例の四年目となる栗田照久(八七年同入省)が留任した。栗田の下で参事官だった石田晋也(九〇年同入省)は審議官に昇格し、地銀再編を担当する。地銀を直接監督する銀行第二課長は、昨年度自ら志願した新発田龍史(九三年同入省)のままである。
 新長官の中島は法制度には強いが銀行の現場には疎い。旧大蔵省時代にノンバンクの担当課長補佐をしたぐらいで、ズブの素人と揶揄する向きさえあるのだ。畢竟、地銀再編の司令塔は栗田と石田、新発田という「三人の田」が担う。
 新型コロナ禍に見舞われた昨年末、「年を越せない銀行が出てくるかもしれない」との見方が金融庁内ではあったという。
 多くの地銀は政府の大号令もあり、取引先を潰さないため遮二無二に貸し出しを増やしていた。その大半は実質政府保証付きの融資であり、地銀にとっては「焦げつき」を心配する必要がない「美味しい融資」(地銀関係者)だ。また、手数料収入が業績に大きく・・・