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社会・文化

靖国神社の「正常化」は急務

後藤 俊彦(神社本庁長老)

2021年8月号

 ―靖国神社で近年、さまざまな問題が噴出しています。こうした状況についてどう思いますか。

 後藤 宮司が次々に代わるといったことは、異常だという印象を受ける。国のために戦って亡くなった英霊の魂を慰める神社でありながら、騒動や内部告発による報道が続くのはよくない。宮司というのは、宗教法人としての組織のトップであると同時に、司祭者として宗教的な意味でも内部を統制する立場にある。その意味では、宮司に早く立て直しをしてもらいたいと願う。

 ―靖国神社の宮司にふさわしいのは、どのような人物なのでしょう。

 後藤 戦前は国家管理であり、戦後も神社本庁傘下ではない単立神社として続いてきたのは、戦没者慰霊という特別な設立経緯のため。過去に、旧華族出身の方を宮司に招いてきたのも、そもそも旧大名家の人間であれば、戦って亡くなった方を慰霊する意識が備わっているという意味もあった。もちろん権威づけの意味合いもあっただろうが、そうした家の出身者は品格や常識を備えていることが多く、・・・