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政治

「新連立」を模索する菅政権

総選挙「惨敗」後の延命策として

2021年9月号

 政権の枠組みを揺るがす「コロナ政局」の号砲が、横浜で鳴った。
「想像を超える大惨敗だ」
 自民党の選挙対策幹部は、横浜市長選の各区別得票数を見た途端、頭を抱えた。敗北は事前の世論調査で覚悟していたが、首相、菅義偉の地元である衆院神奈川二区でも野党候補に約二万票の大差をつけられたからだ。
 状況は、民主党が圧勝し、自民党が下野した二〇〇九年八月の総選挙時と酷似する。このとき、横浜市内の選挙区で自民党候補が勝ったのは、菅ただ一人。その菅も計算上落選しかねない。
 そんな大逆風が吹いても菅は、自民党幹事長・二階俊博の支持をとりつけ、総裁選での再選、総選挙後の続投を目指す。ワクチン接種が進み、十月以降は緊急事態宣言を解除できるまでに感染者数が減り、内閣支持率も回復すると読んでいるからだ。
 だが、首相菅で総選挙に臨めば、自民の敗北、大幅な議席減は免れない。公明を含めた与党全体でも過半数ぎりぎりという事態も十分、想定される。
 本来ならば、衆院選敗北の責任をとって総辞職するのがスジだが、粘り腰を身上とする菅が最後の一手として温存してい・・・