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社会・文化

政治家の無能が招いた「コロナ国難」

塩崎恭久(元厚生労働大臣)

2021年9月号

 ―厚生労働大臣を経験したベテラン議員が、なぜこのコロナ禍のさなかに引退するのですか。

 塩崎 一定の区切りをつけたつもりだが、忸怩たる思いもある。昨年以降、党の中で声を上げてきたつもりだが、政治には反映されなかった。「大規模感染症流行時の国家ガバナンス改革」という提言も行ったものの、国が強い司令塔となる新型コロナ対策は行われていない。自民党の政調審議会も通したのだが、厚生労働省は無視をしたままだ。野党にも呼びかけたが、そもそも内容を消化することさえできない。政府が打ち出した「原則自宅療養」という方針に対して、党内で「撤回しろ」と言ったのは私だけだった。政治の劣化が極まっている。

 ―政府のコロナ対策に国民が失望しきっています。

 塩崎 平時と有事の対応の差がわかっていないことが原因だろう。有事において誰が仕切るのかというガバナンスが、この期に及んで定まっていない。厚労大臣が他人事のように「それぞれの地方が実情に合わせてお決めになるのでは」なんて発言をし・・・

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