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新政権でも「拉致問題」は動かず

安倍外交との「決別」が不可欠

2021年10月号

 九月十日、霞が関で朝鮮半島問題に携わる官僚たちがざわめいた。注目を集めたのはこの日、自民党総裁選への立候補を表明した河野太郎行政改革担当相の胸元だった。北朝鮮による日本人拉致問題の象徴とされるブルーリボンバッジが光っていた。河野氏は会見で、拉致問題について問われ、「安倍内閣の外務大臣として北朝鮮の外務大臣と様々接触をいたしました。河野太郎内閣ができればこの問題の解決に向けて全力をあげていきたいと思います」と語った。
 河野氏はこの後、総裁選ではバッジを外す場面が目立った。ネット上では、着用を続けた岸田文雄前政調会長や高市早苗前総務相と比べ、「一貫性がない」という批判も飛び交ったが、霞が関の住人たちの見方は違った。関係者の一人は「会見で、わざわざ安倍内閣の大臣と説明するなど、安倍外交の継承を示唆している。岸田さんはもちろん、河野さんが総理になっても、拉致外交は動かないだろう」と語る。
 日本政府が北朝鮮による拉致被害者として認定したのは、二〇〇二年十月に帰国した五人を含む十七人。さらに、警察庁が北朝鮮による拉致の可能性を排除できないとする行方不明者(特定失踪者)が八・・・

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