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WORLD

不安だらけの「岸田外交」

「対中包囲網」の中軸は担えない

2021年10月号特別リポート

 世界の民主主義陣営が今秋、空前の動乱期を迎えている。
 米国のジョー・バイデン大統領を支えるアジアの日本、欧州のドイツが、同時に政権移行期に入った。日本では自由民主党の総裁選の後に、総選挙が待ち受けている。ドイツでは九月二十六日の総選挙を受け、連立政権に向けた長い準備が始まった。日独はしばらく、国際政治の舞台から不在状態になる。
 南太平洋では、オーストラリアと米英が、原子力潜水艦建造・配備の電撃合意を発表した。
 契約をキャンセルされたフランスは、「裏切り」「だまし討ち」と厳しく三国を非難した。G7(主要七カ国)の内紛は、ドナルド・トランプ大統領の時代が戻ってきたような有様だ。
 肝心の米国では、バイデン政権内部に「対中休戦」の流れが強まっている。独裁国家の中国とロシアは、攻め時を迎えた。民主主義陣営にとっては、耐える時間帯である。日本の新総理となる岸田文雄は、国際政治の奔流を見通して、巧みに泳ぎ切る力を、短期間で身につけなければならない。

米英豪新同盟「AUKUS」の重大さ
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