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社会・文化

医療界の「金権腐敗」が増悪

医師の「製薬マネー汚染」最新事情

2021年10月号

 今年七月、東京地検次席となった森本宏検事の「仕事」が関心を集めている。着任早々特捜部は日本大学の附属病院建て替え工事を巡る背任事件に着手した。「医療界も、そろそろ年貢の納め時」と警察関係者は期待を込めて話す。医療の現場はカネにまみれ、検察の「執刀」が必要な事態になっている。
 森本検事は東京地検特捜部長時代、文部科学省汚職事件、カルロス・ゴーン事件などを手がけたエースだ。前職の津地検検事正時代に指揮したのが、三重大学病院麻酔部と小野薬品工業の贈収賄事件。小野薬品が三重大学病院の臨床麻酔部の元教授に支払った二百万円の奨学寄付金を賄賂とした。
 東京地検が捜査する日本大学の附属病院建て替え工事の背任事件では日大側からの資金が、理事長が安倍晋三前総理と昵懇とされる大阪の医療法人錦秀会にも流れたとされ、関係先も捜索された。特捜部の動きから目が離せない。
 医療界の問題は、今に始まった話ではない。二〇一三年にはノバルティスファーマ(ノ社)が販売する降圧剤ディオバンの臨床研究の改竄問題が発覚した。ノ社は、虚偽の臨床研究の結果を販促に用い、一兆円以上を売り上げた。その・・・