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北朝鮮が「使える核」開発に邁進

脅威増大に「能天気」な岸田政権

2021年11月号

「被爆地広島出身の総理大臣として、私が目指すのは、核兵器のない世界です」。岸田文雄首相は十月八日に衆院本会議場で行った所信表明演説でこう語った。外務省幹部は約五年間続いた岸田外相時代について「核軍縮は、大臣案件だった」と語る。外相時代の岸田氏は、外交に関心が強い安倍晋三首相にいつも気を遣っていたが、核の問題にだけは並々ならぬ意欲を示していたという。
 時に、米国のバイデン政権は来年初めに、新たな「核態勢の見直し(NPR)」を発表する。当初は一月に議会に報告するとされていたが、二月ごろにずれ込む見通しだという。バイデン大統領とホワイトハウスが、岸田官邸と同じように、「核のない世界」に向けて強い意欲を示し、核抑止政策の強化を訴える国防総省との間で激しい対立が起きているからだという。
 米政府関係者によると、「核の先制不使用(No First Use)」を盛り込むかどうかが、最大の争点になっているという。バイデン氏は「核のない世界」を目指したオバマ政権で副大統領を務めた。二〇一七年一月の演説では、米国の核兵器の役割を核攻撃の抑止と報復に限定したい考えを示したこともある。{・・・

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