三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

WORLD

中国「核の超大国」への隠さぬ野心

ミサイル施設「急増」の危険度

2021年11月号

 中国がユーラシア大陸の中心部に、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の配備計画を進めている。今年は四カ所で、ICBM保存のためのサイロ集積地またはミサイル保存施設と見られる場所が、衛星写真で見つかった。中国のサイロは「二十程度」とされていたから、ここ一年ほどの短期間で、驚異的な増設をしたことが分かる。
 中国は以前から、米国とロシアに並ぶ「核兵器の超大国」と見なされることを切望してきた。中国はすでに、兵器級プルトニウムを大増産する計画に着手している。サイロ大増設は、核兵器でも米国に対抗しようとする、習近平国家主席の危険な野心の表れだ。

砂漠に出現した「サイロ群」

 米カリフォルニア州モントレーは、過ごしやすい気候と太平洋の景色が魅力的な海辺の町だ。ジョン・スタインベックやヘンリー・ミラーら多くの作家がここに住まいを構えた。
 今年六月。この地にあるミドルベリー国際大学院の付属研究所で、ちょっとした騒ぎが起こった。
 民間の衛星観測会社「プラネタ」から届けられた写真に、おびただしい数の・・・