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社会・文化

コロナ「幽霊病床」と補助金の闇

「自宅死」多発の人災は繰り返す

2021年11月号

 第六波が警戒される新型コロナウイルスに備える鍵は、あるのに使われない「幽霊病床」の解消だ。そのためには政府の補助金の制度設計を変える必要があることが、新型コロナ患者を受け入れた病院群九グループの財務状況を調べることで浮き彫りになった。そこにメスを入れられるかどうかが、国民と新政権の命運を左右する。
 岸田文雄総理大臣は衆議院議員総選挙公示前の十月十五日、政府の新型コロナウイルス感染症対策本部で、第五波では「新型コロナ病床が十分に稼働しなかった反省」を踏まえ、「幽霊病床を見える化し、感染拡大時の使用率は八割以上」を確保すると宣言した。
 本誌既報の通り、厚生労働省が所管する独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)は、全国の五十七病院の一万四千二百八十五病床のうち四十三病院の八百十六床を新型コロナ患者の受け入れ病床としながら、第五波が吹き荒れていた七月三十一日の時点では三百四十五床(四二%)で受け入れていたに過ぎなかった。全国の系列百四十病院が持つ三万八千八百九十六床中、九十五病院の一千八百五十四床を確保した独立行政法人国立病院機構(NHO)は六百九十五床(三七%・・・