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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》選挙「情勢調査」

メディアが歪める投票行動

2021年11月号

 十月三十一日投開票の第四十九回衆議院議員選挙でも、近年の例に漏れず、公示直後にメディアが各党の獲得議席の予想を報じた。「情勢調査」と称する見通しを早々と伝えることが投票行動に影響を与える弊害は以前から指摘されながら、問題を取り上げれば自己批判に直結するメディアが黙殺していることもあり、有権者には意識されにくい。選挙の公平、公正さを損なう手法を放置しておけば、民主主義そのものが歪む。
 今回の衆議院議員選挙では、公示日の十月十九日直後に「序盤情勢」が、投開票日まで一週間を切った時点で「終盤情勢」が新聞紙上を飾り、テレビの報道番組は、まるで選挙の行方が決まったかのような印象を見る者に与えた。
 公職選挙法第百三十八条の三の「(選挙結果を)予想する人気投票の経過又は結果を公表してはならない」との規定から、「情勢調査」は公選法が禁じる人気投票に当たるのではないかとする疑問は、根強くある。これに対する政府の公式見解は、歯切れが悪い。
 新聞や雑誌に関しては公選法第百四十八条に「選挙運動の制限に関する規定は、新聞紙又は雑誌が、選挙に関し、報道及び評論を掲載する」自由・・・