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経済

リニア工事でどれだけ人が死ぬか

「事故続発」JR東海の目に余る所業

2021年12月号

 中央新幹線(リニア)の工事は、二〇一四年十二月の開始から、丸七年となった。二七年とされた東京~名古屋間の開業が危ぶまれ、急ピッチで工事が進められている。そんな中、十月二十七日に岐阜県内のトンネル工事現場で初めての死亡事故が起きた。事故後の記者会見で東海旅客鉄道(JR東海)の新美憲一執行役員はこう言い放った。
「プロジェクトへは、大きな影響はないかと思う」  
 人命が失われた惨事。それも「たいしたことではない」と言わんばかりだ。JR東海は、全部で十四あるトンネル工区の掘削工事を一時中断させたが、五日後には作業を再開。すると今度は十一月八日、長野県内の工区で再び事故をやらかした。JR東海の安全軽視と反省なき社風が明らかとなった。  
 リニアの路線上には、トンネル工事の歴史上、最難関となる工区が待ち構えている。そこへ至る前の段階で、早くも事故が相次いでいる。既に問題が指摘されている大深度地下におけるシールド工法と併せて、JR東海のリニア工事は、「大きな影響」に直面している。

危険な「南アルプストンネル」 ・・・