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米中の狭間で惑う日本

懸念多き岸田=林「宏池会外交」

2021年12月号特別リポート

 中国政府が、就任間もない岸田文雄首相に、最近では見られなかった秋波を送っている。  
 王毅外相は十一月十八日、新任の林芳正外相と電話会談を行った上、「中国にいらっしゃい」と、林外相を招待した。  
 首相と外相が、伝統的に「親中」の宏池会出身で、林外相は日中友好議員連盟の前会長だった。これ以上ない組み合わせと見て、日本を手繰り寄せようという目論見だ。来年は「日中国交正常化五十周年」という節目でもある。  
 一方、ジョー・バイデン米大統領は、その少し前に、日米にオーストラリアとインドを加えた「クアッド(QUAD)」の次回首脳会議を「日本で開催しよう」と提案した。こちらは、岸田首相にホスト役として花を持たせ、インド太平洋の民主主義諸国の結束を示そうという狙いである。  
 ドナルド・トランプ前大統領時代から激化した「米中」二強の抗争は、いよいよ日本がリングに上がる番になった。米中の真意と近隣情勢を見極めなければならない。  

「対中共闘」には加わらない韓国

 東アジア・・・