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社会・文化

狂乱価格の 「ブルゴーニュ・ワイン」

投機マネーで跳ねる「液体資産」

2021年12月号

 史上初のワイン・バブルは二〇〇五年に発生し、ボルドーの価格が高騰した。そして今はシャンパーニュとブルゴーニュが、文字通りのバブルに見舞われている。
 シャンパーニュのバブル銘柄はクリュッグ〇八年やルイ・ロデレールのクリスタル一三年、サロン〇八年など。クリュッグの正規輸入元MHD モエ ヘネシー ディアジオから直接販売を受ける優先的な顧客は「三ケース注文したら一ケースしかこなかった」と嘆いている。クリュッグのCEOマギー・エンリケスが着任した〇八年には、リーマンショックもあって、在庫を抱えていたのが嘘のようだ。
 シャンパーニュとブルゴーニュに強い都内のネットショップは頭を抱えている。正規輸入元の割り当てが減り、並行品も非常に高い。国内の需要は強いが、それよりも中国の顧客の変化に驚いている。 「(ワインが傷む)夏場の配送も気にしなかったのが、暑い季節は避けるようになった。医食同源で、避けていたブルゴーニュの白や冷たいシャンパーニュを飲むようになった。特に高値のルフレーヴ。お手頃なマコンまで根こそぎ買われている。赤はルロワが無理なので、関連のあるアルヌー・ラショーが人・・・