三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

経済

電気料金「高騰」は経産省の罪

電力自由化が国民に強いる「苦役」

2022年1月号

 電気料金が下がらなくなって久しい。二〇二二年二月まで電気料金は大手全社で値上げが続く。値上げは六カ月連続だ。池辺和弘電気事業連合会会長は再生可能エネルギーのせいと嘯くが、それは正鵠を射ていない。電気料金の高騰は、燃料高と経済産業省の政策ミスが重なったことによる。
 燃料費は右肩上がりで収まる気配がない。燃料費高騰の根本要因は欧州ガス危機だが、経産省はそれを知りながら、電力各社にLNG在庫を積み増すよう指示。例年比で約七十万トンも在庫が多い状態となった。電力危機が訪れなければ、これらは過剰在庫になる。そのまま都市ガスとして捌くか、さもなければ発電所で焚くしかない。発電会社は安い石炭火力を減らし、高単価のガス火力を増やすだろう。その電力が市場に出てくるので卸価格も高くなる。
「否、経産省が前面に立って節電要請を行えば済む話だ」とは電力関係者。ところが、怯懦な経産省は世論の反発を気にする官邸に気を使い、「無理のない範囲での効率的な電力使用と省エネ」しか呼び掛けていない。
 電気料金には燃料費調整制度(燃調)なる救済措置があり、燃料費の高騰分は自動で料金に反映さ・・・