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中国社会を蝕む「高学歴失業」

大卒無職の「津波」が生む不穏

2022年2月号

 中国の国内総生産(GDP)伸び率は昨年十~十二月期に四・〇%に低下、今年は五%割れが必至の情勢となりつつある。習近平政権の不動産業界への強烈な締め付けに加え、消費不振がサービス業や中小製造業にのしかかっている。今回の景気悪化で特徴的なのは、高学歴者に高給の職を大量供給してきたアリババやテンセントなどデジタル企業が幹部から一般社員までリストラを加速させていることだ。中国経済の牽引役の失速は「高学歴失業」という習体制にとって危険な〝爆弾〟を社会に溜めることになる。
 昨年十一月二十八日に実施された中国の国家公務員試験、俗称「国考」。日本の大卒・院卒向け国家公務員試験に近く、職種は七十五部局、二十三機関にわたり、三万一千二百人を採用する。新中国発足以来、中止の年もあったが、曲がりなりにも継続してきた「国考」に昨年、異変が起きた。受験者が二百十二万人に急増、「国考」史上初めて二百万人を突破したのだ。平均倍率は六十八倍、最激戦の職種では一万九千二百倍に達した。
 かつて中央政府の公務員は付け届けや賄賂など実質的な実入りのいい仕事として人気だったが、汚職を徹底追及する「反腐敗・・・