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連載

新大学評判記 第26話

青山学院大学 駅伝常勝校が抱えたジレンマ

2022年2月号

 年始恒例とはいえ今年の「箱根駅伝」の中継を最後まで見続けた人は少なかっただろう。青山学院大学の圧勝で、コンテンツとしては退屈なものになったからだ。青学は昨年こそ取りこぼしたが、二〇一五年以降に六回優勝し、今や大学駅伝界に君臨する。都心にキャンパスのある、勉強より遊び好きの「ぼんぼん大学」のイメージを払拭した。だが、新しいイメージにも学業や人材輩出といった要素は薄い。スポーツを大学のイメージ戦略の中核に据えることの隠れたリスクを体現しているのが青学といっていいだろう。
 青山学院大学はキリスト教系で英語教育に熱心な文学部中心の大学と思われがちだが、経済学部、法学部、理工学部など十一学部を持つ総合大学。といっても英米文学科のある文学部が英語力を売りにする看板学部、とは言えず、国際政治経済学部の入試偏差値が高いことで知られる程度。総合文化政策学部、地球社会共生学部といった学際的な学部も設置されたが、存在感は薄く「看板なき学部集合体」というのが大学業界における評価だ。
 青学において求心力となってきたのはキャンパス内にチャペルも擁するキリスト教教育だが、〇八年の総合文化政・・・