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社会・文化

コロナ「高齢者入院」の惨状

死者を増やす厚労省の犯罪

2022年3月号

「新型コロナで入院している患者の多くが軽症の高齢者で、何のために入院しているかわからない」。東京都内の感染症指定医療機関に勤務する内科医が言う。それどころか、隔離目的の強制入院は高齢者の命を危険に曝している実態があるのだ。
 この医師によれば、この病院には七十人のコロナ患者が入院していて、三十五人が八十歳以上だ。そのうち、二十人は発熱や呼吸器症状はなく、酸素も投与されていない。残る十五人は酸素を吸入しながら、レムデシビルやステロイドホルモンの投与を受けており、肺炎が悪化した患者はいない。昨夏のデルタ株の流行では、病床には重症患者が溢れ、人工呼吸器が足りなくなったのとは対照的だ。
 マスコミは、「新型コロナ今月末にも病床逼迫恐れ 名古屋市」(読売新聞一月十九日)、「病床逼迫に備えて入院基準引き上げ 県、他県と同じレベルに/埼玉県」(朝日新聞一月二十三日)など、医療崩壊の危機を煽るが、その実態は違う。
 医療現場混迷の原因は、厚生労働省が昨年十一月三十日に出した通知で、オミクロン株の感染の可能性が高い人は、重症度にかかわらず全員を入院させるように求めたからだ。・・・