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WORLD

世界で激変「資源地政学」

この危機に戦略なき岸田政権

2022年4月号

 ロシアによるウクライナ侵攻で、西欧各国が一斉にエネルギー政策の見直しを進めている。ドイツでは「地球温暖化防止」を金看板にする緑の党が、「対価を支払わなくてはならない」として、石炭利用継続の容認に転じたほか、フランスは「原子力エネルギー」の重要性を再確認し、英国は北海油田の生産強化を図ることになった。
 欧州各国は、再生可能エネルギー関連でも極力、「自給自足」を図る方針で、ドイツや英国は電気自動車(EV)のバッテリーに不可欠なリチウムの国内採掘を進める。
 ロシアの石油・天然ガスは、当面厳しい禁輸に直面する見通しだ。「ロシアはエネルギー超大国の座をすべり落ちる」との観測も出始めた。ウクライナ戦争が塗り替える、新しい「世界のエネルギー地図」を展望しよう。

リチウム「国内調達」を急ぐ独英

 ドイツのオラフ・ショルツ首相が、安全保障政策の大転換を発表した二月二十七日のことだ。連立与党・緑の党の二枚看板、ロベルト・ハーベック副首相兼経済気候相と、アンナレーナ・ベアボック外相がメディアに登場し、「緑・・・