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印「モディ政権」に大禍の予兆

原油高が「命取り」の可能性

2022年4月号

 三月十九日、インド首相ナレンドラ・モディは、訪問した日本の首相岸田文雄と今春に東京で開かれる日米豪印の四カ国首脳会談(クアッド)に向け、協力を前進させることを確認した。在任八年。盤石な与党に支えられ、モディは順風満帆にみえる。しかし足元には「暴動」「政権崩壊」といった危機が忍び寄っている。いまだかつてインドの政権で原油高を乗り越えた者はいないからだ。
 中道右派の与党インド人民党(BJP)は二〜三月に実施された五つの州議会選挙では四州で勝利を収め、残る一州も最大野党国民会議派が敗れ地域政党が勝利した。モディにとっては全勝に等しい。
 二〇二四年の下院総選挙での勝利は確実にみえる。オミクロン株による感染第三波は一月下旬をピークに新規感染者数は一日あたり三千人水準にまで減少している。今、総選挙をすればBJPは得票率四〇%を取り、最大野党国民会議派は一五%、他の地域政党が二~三%といったところだろう。
 だが、モディの試練の時は迫っている。二月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比六・〇七%となり、中央銀行のインド準備銀行(RBI)のインフレ目標(四%+・・・