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政治

ロシアが追い風の岸田政権

戦争で糊塗された「多事多難」

2022年4月号

 二〇二二年三月二十二日は政治をめぐるニュースの「特異な日」だった。ロシア外務省が平和条約締結交渉を中断発表、政府が初めて「電力需給逼迫警報」を発令、新型コロナウイルスをめぐる「まん延防止等重点措置」の全面解除初日。そして通常国会の最優先課題だった二〇二二年度予算が二十二日午後の参院本会議であっさり成立した。自民、公明の両党に加え野党の国民民主党が衆院に続いて賛成に回ったことも大きかった。
 そんな重要な節目の日に岸田文雄と自民党幹事長の茂木敏充が会食した。官房副長官の木原誠二と幹事長代行の梶山弘志が同席した。場所は東京・浅草雷門の「鷹匠壽」。その名の通り野鴨、野鳥料理を出す予約の取れない名店として知られる。茂木が首相時代の安倍晋三を何度も誘い、「首相動静」に登場したことで永田町でも「茂木の店」として認知される存在と言っていい。茂木は安倍が首相在任中に計七回もこの店に誘っている。茂木が“ゴマスリ”に励んでいた様子が目に浮かぶ。
 その茂木が三月二十二日夜、取って置きの店に招待したのが岸田だった。茂木が安倍から岸田に“すり寄る&rd・・・