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西風 491

垢抜けるか「京都駅周辺」

2022年4月号

 観光都市・京都の玄関口である、JR京都駅の周辺は寂れた印象が強い。中心街といえば、阪急電鉄の駅がある河原町であり、観光客が訪れる寺社・仏閣なども同駅からは遠いところが多い。京都の人間も、新幹線を使うときぐらいしか京都駅には来ない。一九九七年に現在の近代的な駅ビルがオープンしたものの、周辺の再開発は遅々として進まなかった。
 そんな京都駅周辺がにわかに生まれ変わろうとしている。近い将来、新型コロナ禍が終わり、インバウンドの観光客が戻ってきたときに向け準備が進んでいる。これは、京都駅の周りに人の流れを作るという、京都市の長年の課題への取り組みでもある。
 駅の北側では、駅前一等地に建つ京都中央郵便局と隣接する立体駐車場の再開発計画が進む。昨年十一月に明らかになった計画によれば、駅ビルと同程度の高さ六十メートルのビルを建設するという。新ビルは、商業施設やホテル、オフィスなどが入る。完成予定は二〇二九年と、まだ先だが駅前の雰囲気は一変するだろう。新ビルは日本郵便と京都駅ビル開発が共同で計画している。高級ホテルの誘致を目指し、駅周辺に富裕層を呼び込む思惑もある。
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