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金正恩「斬首作戦」が復活へ

「核実験」再開を米国は許さず

2022年5月号

朝鮮中央通信は四月十七日、金正恩朝鮮労働党総書記が新型戦術誘導兵器の試射を視察したと伝えた。韓国軍合同参謀本部によれば、十六日に発射された飛翔体二発が、約百十キロの距離を高度約二十五キロ、最高速度マッハ4で飛行した。短距離弾道ミサイルとみられるが、事態は深刻だ。同通信が試射の目的として「戦術核運用の効率化」を挙げたからだ。正恩氏の実妹、金与正党副部長も同月四日付の談話で「核戦闘武力の動員」という表現を使った。「核」に関する言及の増加は何を意味するのか。
 金正恩氏は二〇一八年四月、「これ以上の実験は不要になった」として核実験場の廃棄を命じた。だが、今年一月、弾道ミサイルの発射実験と核実験を再開する考えを表明した。北東部にある豊渓里核実験場では坑道を再建する工事が進んでいる。北朝鮮で核への言及が増えている現象は、一七年九月以来となる七回目の核実験が近いことを示唆する戦略的メッセージだろう。
 すでに六回目の核実験では、広島型原爆の三倍を超える五十キロトン以上の爆発が観測された。金正恩氏は昨年一月の党大会で「超大型核弾頭の生産を推進する」と語っており、七回目の実験はメガ・・・