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中国「台湾攻略計画」は白紙に

習近平の野心砕いた「ウクライナ」

2022年5月号

北京市西部の観光スポット、頤和園の近くにある中国社会科学院台湾研究所。ここの研究チームは昨秋から台湾への武力行使の根拠となる「国家統一法」の草案作りの一部を担当している。ウクライナ侵攻でロシア軍の苦戦が明らかになった三月中旬以降、政府から指示が下った。それは「一旦作業を中断せよ」という内容だった。
 中国には胡錦濤前国家主席時代の二〇〇五年に立法した「反国家分裂法」がある。台湾が独立を宣言すれば、中国が台湾に対し武力侵攻する法的根拠になっている。
 しかし、近年、台湾の蔡英文政権は「台湾独立」とは口にせず、事実上の「脱中国化」を進め、米国との軍事協力体制も強化した。
 一九四九年に蔣介石と台湾に渡った中国系移民の子孫は台湾での政治的影響力が低下し、台湾で中国との統一を主張する人は減り続ける。「このままでは台湾は事実上独立してしまう」と焦った習近平中国国家主席は一九年一月、台湾問題について重要談話を発表した。
「外部の干渉や台湾独立勢力に対して武力行使を放棄することはしない。必要な選択肢は留保する」
 以降、中国軍機が頻繁に台湾の防空識別・・・