三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

WORLD

人民解放軍に走る 「ロシア・ショック」

疑われ始めた中国の「実力」

2022年5月号

 中国共産党と人民解放軍(PLA)が、各種戦略の抜本的な見直しを迫られている。
 ロシア軍や前身のソ連軍は、一九四九年の中国共産党政権発足時から、人民解放軍の手本だった。ウクライナ侵攻でロシア軍の構造的欠陥が次々と明らかになり、世界の軍事専門家の間では、「人民解放軍も本当は戦えないのではないか」との観測が広がっている。
 中国の脅威に直面する台湾にとっては、「中国の侵攻にどう対処するか」について、格好の教材となった。現時点で台湾当局は「中国共産党は、台湾への武力行使により慎重になるだろう」との見方に傾いている。

封じられた少数精鋭部隊

 ロシア軍のウクライナ侵攻で、主力となったのは「大隊戦術グループ(BTG)」と呼ばれる、陸軍の機動部隊である。戦車、ロケット砲といった攻撃兵器だけでなく、偵察用ヘリコプターや防空担当員、さらに工兵も備え、一グループで大概のことができる。
 六百~八百人の「ミニ軍隊」で、抜群の機動力と高い戦闘力を持つとされた。ロシアは昨年の時点で約百七十のグループを・・・