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韓国の危うい「米国べったり路線」

中国の「報復」に耐えられるか

2022年6月号

 韓国で五年ぶりに保守政権が誕生し、五月二十一日には米韓首脳会談も開かれた。日本には心強い姿に映るが、早くも「同盟国を使い倒す米国の容赦ない姿勢と、米国にオールインした韓国の危うい外交方針」(米韓関係筋)という声も上がっている。
 バイデン米大統領が二十日夕、韓国に到着してすぐ向かったのが京畿道平沢市内にあるサムスン電子の半導体工場だった。バイデン氏は「プーチンが引き起こしたウクライナ戦争により、(半導体の)供給網の安定化が必要になっている」と語ったが、韓国政府関係者の一人は「米国の視線はロシアではなく、中国に向いている。サムスンの半導体を一つたりとも、中国には渡さないというメッセージだ」と語る。米韓首脳会談では、米国が中国を念頭に主導する「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」に、韓国が参加することで正式に合意した。
 米韓首脳共同声明には一言も「中国」という言葉は出てこないが、「台湾海峡の平和と安定を維持する重要性」「自由で開かれたインド太平洋の重要性」「尹大統領が(日米豪印による安全保障枠組みの)Quadに関心」など、中国を狙い撃ちした表現がずらりと並んだ。大統・・・