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政治

岸田「何もしない」政権の高支持率

《政界スキャン》

2022年6月号

 五月実施のマスコミ各社世論調査で、岸田文雄政権の支持率が軒並み発足以来最高を更新した。「何もしていないのに、なぜ」といぶかしむ人が、「何もしていないからだろ」と混ぜ返されても「うむ」と黙り込んでしまうのは、そこに一片の理を認めているからか。安倍晋三・菅義偉政権の時のようなビジョンもキャッチフレーズもコメントも出てこない代わり、暴言・失言・非難・悲鳴の聞こえてこない政治に、妙な安らぎを覚え、つい肯定してしまう世論の傾きは確かにある。
 風向きの強運を列挙する解説もある。「まったくコロナ様、プーチン様、連合様のおかげさ。どれも問題の本質から外れた事の成り行きが、岸田政権には追い風となってんだから」(政府高官)。
 調査では、新型コロナウイルスとウクライナ侵攻への政府対応を評価する意見が多い。確かにコロナ第六波は減少に転じたが、科学的な理由は分かっていない。政府の対応は二転三転し、科学より世論に迎合しながら変化してきた。ウクライナ問題も主要七カ国(G7)を中心とする米欧陣営の方針に同調しただけで、日露交渉やエネルギー供給など日本固有の外交戦略をどうするのかは何も策がない・・・