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政治

日米安保「利権集団」に変調の兆し

大物知日派「豪州転出」の影響

2022年6月号

 日米同盟が日本の安全を守る唯一の道だと唱え、日米安全保障条約や日米地位協定の見直しを口にする輩は安全保障を理解していないと切り捨てる「日米安保屋」に、変調の兆しが見られる。四半世紀近く統帥的な存在だった米国の知日派の首都ワシントンからの転出がきっかけだ。日米同盟の「一本足打法」の限界が見えても思考停止に陥っていた日米安保屋が変化できるかどうかは、今後の日本の外交、安全保障政策にとって無視できない要素となる。
 三月二十九日、オーストラリアのシドニー大学にある調査研究機関「米国研究センター(USSC)」は、五月から新たな所長に米国の「戦略国際問題研究所(CSIS)」でアジア担当上級副所長を務めていたマイケル・グリーンを迎えると発表した。
 グリーンは第四十三代大統領を務めた共和党のジョージ・W・ブッシュ(在任二〇〇一~〇九年)のホワイトハウスで、国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長として日米同盟関係を強化する取り組みの先頭に立つなど、米国有数の知日派として知られる。優れた外交戦略家だった故・椎名素夫が衆議院議員だった時に秘書として修業を積み、流暢な日本語を話し、・・・