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経済

利益一兆円企業の実像と「弊害」

暴利の秘訣は「独占と搾取」

2022年6月号

 今や遠くなった昭和の時代。売上高一兆円企業は数えるほどしかなかった。巨大企業の冠がふさわしく、社格も高かった。時代は平成を飛び越え、令和の二〇二二年三月期決算で、営業利益または純利益で一兆円を突破した企業が五社にのぼった。企業の真の成長の結果であれば喜ばしいが、実態は海運や資源の市況暴騰、円安、寡占化による競争制限などで利益を伸ばした企業が並んでいるにすぎない。二二年三月期は東京証券取引所上場企業の三四%が過去最高益となった。その裏で、濡れ手で粟の「利益一兆円企業」に搾り取られた中堅・中小企業の苦難は拡大している。
 二二年三月期に「利益一兆円」企業となったのは、トヨタ自動車と日本電信電話(NTT)、ソニー、日本郵船、三菱商事の五社だ。
 トヨタは売上高三十一兆三千七百九十五億円、営業利益二兆九千九百五十六億円、当期純利益二兆八千五百一億円。いずれも前期比二ケタの伸びで、コロナ感染による自動車市場の停滞やサプライチェーンの混乱が続くなか、様々なカラクリでこの数字をひねり出した。

収まらぬ荷主の怒り
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