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経済

《地方金融の研究》常陽銀行

再エネ事業参入の「屁っ放り腰」

2022年6月号

「ひとまず認可だけ取得して唾つけておこうというだけじゃないの」。金融関係者の間ではこう揶揄する向きも少なくない。
 五月十三日に電力ビジネスへの参入を発表しためぶきフィナンシャルグループ(FG)傘下で茨城県地盤の常陽銀行。近々にも金融庁に対して、二〇二一年に改正された銀行法に基づく銀行業高度化等会社の認可を申請。七月中をメドに水戸市に新会社「常陽グリーンエナジー」を設立し、太陽光を手始めに再生可能エネルギーの発電事業に乗り出す。「地域の脱炭素化に一役買うと同時に、収益源の多様化につなげる」(常陽銀関係者)のが狙いだ。
 実は地銀界では常陽銀による発表前日の同十二日、島根・鳥取両県地盤の山陰合同銀行が「地銀初」と銘打って電力事業への参入を表明したばかり。常陽銀からすればわずか一日の遅れで「パイオニア」の称号を山陰合銀に譲ることになったわけで、幹部の一人は「このままでは『二番煎じ』の汚名が永久に付いて回る」と切歯扼腕する。
 もっとも事情通に言わせれば「それもこれも結局は本気度の違い」ということになる。ほとんど同時に共通領域への新規参入を打ち出しながらそれほど・・・