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経済

《クローズ・アップ》鳥井 信宏(サントリー新社長)

難題「国内事業」の成長に挑む

2022年6月号

 サントリーホールディングス(HD)傘下で、国内酒類事業を全面的に統括する目的で七月に発足するサントリーの社長にサントリーHD副社長の鳥井信宏氏(五十六歳)が就任する。
 サントリーHDは二〇一四年に「ジムビーム」ブランドのバーボンを製造・販売する米ビーム社を買収、海外事業を一気に拡大した。新浪剛史社長が率いるサントリーHDは、海外での事業拡大に注力しており、国内は新会社のサントリーがビール、スピリッツ、ワイン、缶チューハイなどすべてのジャンルのアルコールを生産から販売まで手がけることになる。
 サントリーHDの海外売上高比率は四五・三%まで上昇しているが過半は国内市場。国内を統括する社長に創業者、鳥井信治郎のひ孫である信宏氏が就くことは、HDの新浪社長の後継の座が事実上、決まったことを意味する。
 ただ、今後の国内市場は大荒れになるのは確実。コロナ禍の二年間で、飲食店のアルコール売り上げが激減、代わって「家飲み」が急増したことで、アルコールの販売チャネル、売れ筋が激変したからだ。ビールでは「プレミアム」カテゴリーに強みを持つが、キリンビールやサッポロビー・・・