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社会・文化

読売新聞「日本テレビ支配」の最終形

「禁じ手人事」に揺れる民放首位局

2022年6月号

「そこまでするのか……」
 東京・汐留にある日本テレビの本社ビルの各所に衝撃が走り、うめき声が漏れた。
 原因は、五月十二日に発表された新経営体制だ。日本テレビホールディングス(HD)の大久保好男会長、小杉善信副会長が退任して日本テレビ放送網顧問となり、代わって、読売新聞グループ本社社長の山口寿一氏が非常勤でありながら、代表取締役会議長に就任することになったからだ。
 山口氏はこれまでも、日本テレビHDの取締役だった。それが新体制では序列トップに君臨し、新聞とテレビの両方をリードすることになったのだ。日テレ社内に衝撃が走るのも無理はない。
 社長・会長を歴任してきた大久保氏も読売新聞出身だ。だが同氏の場合、二〇一〇年に読売新聞取締役から日本テレビ取締役に転身して以降、新聞経営の中核からは外れている。これにより、「日本テレビを優先して経営判断するとの信頼感が社員の間に広がった」(地方局幹部)という。
 一方、今回の山口氏は代表取締役でありながら、「非常勤」だという。企業法務に詳しい弁護士は、「あまり聞かない話」・・・