三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

政治

清和会「跡目争い」の混沌

派閥を崩す「萩生田」の台頭

2022年7月号

 参院選後の内閣改造で、安倍晋三元首相は実弟・岸信夫防衛相の外相昇格をねじ込んでくる―。安倍派(清和政策研究会)の内情に詳しい自民党議員から、こんな観測をささやかれた岸田文雄首相は思わず身を乗り出してつぶやいた。「えっ、辞めるんじゃないの」。岸氏は歩行に支障を来すほど体調が悪い。杖を手放せないだけでなく、頻繁に車椅子を利用している。北朝鮮がミサイルを発射しても記者団の前に現れてコメントを発表できないこともあった。
 岸田氏は安倍氏への配慮から菅義偉内閣の岸防衛相を留任させたが、参院選後に交代させる腹づもりでいることが図らずも漏れた。そう察した議員が「本当に、あの体調じゃ防衛相だって続けられませんよね」と相づちを打つと、岸田氏は遠回しに岸氏の病状について探りを入れてきた。議員が「国防という最重要の危機管理担当大臣が、あれほどの体調不良について何も説明しないのはおかしい」と水を向けると、岸田氏は発言を控えながらもかすかにうなずいた。その反応から議員は、首相ですら岸氏本人から病状の詳しい説明は聞かされていないらしいと推し量った。議員が「外相への昇格要求の噂はダメ元の吹っかけで、妥協・・・