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政治

《罪深きはこの官僚》迫井正深(内閣官房コロナ対策室長)

危機管理庁の 「骨抜き」で暗躍

2022年7月号

 政府は、コロナウイルスや新たな感染症に備え、首相直轄の「内閣感染症危機管理庁」を新設する方針を決めた。パンデミック時の司令塔の役割を担う。さらに国立国際医療研究センターと国立感染症研究所を一体化する「日本版CDC」を発足させる。制度改正にあたり暗躍した官僚がいる。迫井正深・内閣官房新型コロナウイルス等感染症対策推進室長である。
 一九八九年に東京大学医学部を卒業後、同大学医学部附属病院などで外科医の勤務を経て、厚生省(当時)に入省した医系技官だ。今夏の人事で、医系技官トップの厚生労働省医務技監就任が確実視されている。医務技監は内閣感染症危機管理庁の長官を兼務する。
 同管理庁新設にあたり、迫井は何をしたのか。厚労省関係者は「国の指揮命令権を実質骨抜きにした」という。新制度では自治体と医療機関が事前に協定を結び、病床確保に加え、自宅・宿泊療養者に対する治療や健康観察をする。これでは、国は自治体に丸投げで、何の責任も負わないことになる。
 なぜ、こう動いたのか。昨夏のデルタ株の流行では、厚労省からの天下りと現役出向を受け入れている国立病院機構や地域医療機能推・・・