三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

経済

《地方金融の研究》紀陽銀行(和歌山県)

唯一の活路「大阪攻略」に猛進

2022年7月号

 今や実態は「南大阪銀行」とでもいったところか。和歌山市に本店を置く紀陽銀行が〝ナニワ攻め〟を一段と加速させている。二〇二二年三月期末の貸出金残高三兆四千二百四十億円のうち大阪府内向け融資は前期末比六・一%伸びて一兆八千三百三十一億円に到達。「将来目標」としてきた二兆円超えも視野に入る。一七年三月期末時点における府内融資は一兆四千二百九十三億円だったからここ五年間で実に四千億円超の貸出金を積み上げたことになる。この間、融資全体に占める「大阪比率」も五〇・六%から五三・五%に跳ね上がった。
 こうした大阪での量的拡大が奏功してか業績も堅調だ。超低金利の長期化でジリ貧の一途を辿ってきた貸出金利息収入は二〇年三月期に十一年ぶりに反転増加。資金利益を押し上げ、人件費・物件費などの経費圧縮効果も加わって二二年三月期のコア業務純益(単体ベース)は二百十九億円と前期比二八・六%の伸びを記録した。「大阪での中小企業向け貸出が増え、名前も知られてきた」。原口裕之頭取はこう口元を綻ばせる。
 収益好転から来る自信の表れでもあるのだろう。五月十三日の二二年三月期決算発表では年間配当の五円・・・