電気料金の高騰が日本経済に打撃を与えている。ロシアのウクライナ侵攻によって、火力発電の燃料となるガスの価格が世界的に急騰しており、「電気料金の値上がりやむを得ず」との向きも多かろう。しかし、現下の電気料金上昇は、電力制度の悪用が一因になっていることが次第に明らかになってきた。電力制度は電力・ガス取引監視等委員会が監督しているが、制度の悪用は放置されている。一言でいえば、電ガ監視委の怠慢である。
　電力制度の難解な専門用語の一つに、常時バックアップというものがある。ベース電源を持たない新電力に対して、大手電力の供給力を分け与えることを目的に導入されている。本来は経過措置的な性格を持つ仕組みであり、原則廃止といわれながら、これまで延命されてきた。

疑惑のオンパレードを「傍観」

　常時バックアップの総契約量は五十万キロワット以下の低位で推移していたが、二〇二一年の夏を境に急増。二一年六月に四十三万キロワットだった契約量は二二年一月に三百三十万キロワットとなっており、八倍近くに跳ね上がった格好だ。
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